介護老人保健施設は略称「老健」といいます。高齢者の自立を支援し、在宅復帰を目指すために、日常的な医療行為や看護・介護のケアはもとより、リハビリテーションや身近なお世話まで提供する入所型の施設です。
老健では、様々な職種が利用者に応じた目標と支援計画を立て、日常生活動作能力の回復訓練や離床期や歩行期にリハビリテーションを提供し、身の回りのことができるように援助をします。そのほかに、充実した生活をおくっていただくために、幅広い教養、趣味活動を提案し、その方に合った生活を提供し、できる限りの自立支援をサポートすることを基本としています。
介護保険制度にて運営していますので、介護保険の適用される方が対象です。具体的には要介護1から要介護5と認定された方ということになります。そしてその方の状態が、①看護、②医学的管理下での介護、③機能訓練等の必要な医療、以上のサービスを必要とする要介護者が対象者です。
介護老人保健施設では、リハビリテーションを中心とした医療サービスと、施設内での日常の生活に必要な食事、入浴、排泄、レクリエーションなどの支援や介助を行い、在宅での暮らしができるように機能を回復していく施設です。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員、支援相談員、管理栄養士といった様々な職種が多職協働でご利用者の状態に合わせた計画に応えていきます。
老健は在宅復帰を目的とした中間施設としての役割を担っています。特別養護老人ホームのような終身に渡っての生活援助を行う施設とは性格が異なり、機能回復のための訓練を行いながら自立した生活が行えるよう援助していくという目的があります。その目標のための計画を立て、ご利用者さまの状態によってそのご利用期間の長短出てくるかと思います。3か月ごとにサービス計画(ケアプラン)を作成し、その都度状態を確認しながらのご利用をしていただくことになります。
各施設によって異なる部分が多いようです。眼科・耳鼻科等の他科受診の通院の際、東山ハイツでは、ご家族で対応のできない利用者には送迎や援助をご相談に応じて行います。また洗濯に関して、ご家族で洗濯をされるところもあれば、業者への委託を望まれる方もあります。
原則としてご家族に身元引受人となり契約を行っていただきますが、場合によってはご家族が身元引受人となることが困難な場合もあります。そういった場合は、成年後見人制度の手続きを行って、利用契約をすることもできます。
介護サービス計画を作成し、それに基づいて運動やマッサージなどの機能回復のための訓練や計算ドリルや塗り絵、手芸や木目込みなどの作業療法も理学療法士や作業療法士によって行っています。広い館内を車いすでの移動や、手すりをつたっての歩行も日常生活でのリハビリの一環と言えるでしょう
利用されるお一人お一人の介助がどこまで必要であるか、その方が現在有している身体機能がどの程度あり、課題が何なのか見極めるのも大切な仕事です。
原則として介護老人保健施設に入所している間は、日常的に必要な診察や投薬などの医療に関しては施設の医師が担当することとなっています。これらの医療に関する費用は施設サービス費に含まれていますので、医療保険への請求はできないこととなっています。以上の理由で一部の例外を除き、入所期間中は他の医療機関に受診したりお薬をいただいたりすることはできないことになっています。
例外とは、介護老人保健施設での治療が困難な場合です。眼科や耳鼻科などの診療科目においては、他科受診が認められていますので、状態に応じて受診をお願いすることもあります。
介護保険が適用される施設のため、介護サービス費の1割を負担いただきます。また食費と居住費、その他の利用料を合算し、毎月請求書を発行しております。このうち、食費と居住費については全額自己負担となります。但しこれらの費用は世帯の所得に応じて4段階に区分された減免の制度が受けられる場合があります【介護保険負担限度額の認定】。
この制度を利用するには利用者が申請する必要があります。詳細については窓口となっている各市町村窓口にお尋ね下さい。簡易な区分は下記の一覧表をご覧下さい。
利用者負担
対象となる人【次のいずれかに該当する場合】
第1段階
【1】 生活保護世帯
【2】 境界層該当者
【3】 市町村民税世帯非課税である老齢福祉年金受給者
第2段階
市町村民税
非課税世帯
【1】「合計所得金額+課税年金収入額」が年額80万円以下
(年金収入のみの場合は年額80万円以下)
第3段階
【1】 利用者負担第2段階に該当しない人
(年金収入のみの場合は年額80万円超で
市町村民税世帯非課税の方)
【3】 市町村民税課税世帯の特例減額措置が適用される人
第4段階
第1・第2・第3段階に非該当 (市町村民税本人非課税、本人課税等)
※境界層該当者とは
介護保険施設に入所した方で、負担限度額の認定を受けずに利用し、食費・居住費を支払った場合に生活保護受給の対象に相当する方
言い換えれば、負担限度額の認定を受けることによって生活保護受給の対象とならない方
介護老人保健施設ではさまざまな資格を有する職員が働いています。まず、施設長は医師免許を持った、いわゆるお医者さんであることが必須条件です。これは介護老人保健施設の大きな特徴であり、入所している間は施設長が利用者のかかりつけ医となります。
また、看護師も介護老人保健施設以外の入所施設より手厚く配置をされております。その他の職種としては、リハビリテーションを行う作業療法士や理学療法士、言語聴覚士。身の回りのお世話をする介護職員に、入所期間中のケアプランを立案・作成するケアマネージャ。入所の相談や退所時の手続き等を行う支援相談員。日々のお食事全般についてマネージメントする管理栄養士に食事を作る調理員。保険請求業務等を担当する事務員などの職員が各業務を専門に分担しすることで成り立っているのです。
以下に定員が100名の介護老人保健施設における常勤換算後の人員配置基準を示します。
職 種
常 勤
非常勤
夜 勤
業務内容
施設長
1名
医学的管理に関する全般
看護師
9名
3名
医学的管理に関する看護
介護職員
27名
介護に関する全般
理学療法士
リハビリテーションに関する全般
作業療法士
支援相談員
利用者及び身元引受人との相談等
生活相談員
薬剤師
調剤及び薬学的管理
管理栄養士
栄養管理及び食品の安全衛生管理
介護支援専門員
2名
施設ケアプランの作成
事務職員
施設内の事務全般
その他
施設内の環境整備等